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Massive MIMO(マッシブ・マイモ)とは?5Gを実現するネットワーク技術を解説!

更新日:2020.11.05

Massive MIMO(マッシブ・マイモ)とは、高速大容量のモバイルデータ通信の5G時代に向けて、活用が期待されている技術の一つ。その理由を簡単に解説。NTTドコモ、au、ソフトバンクが各ベンダーと研究を進めており、今後の動向にも注目です。

「5G」の超高速・大容量通信へ向けて注目が集まっている「Massive MIMO(マッシブ・マイモ)」ですが、これって一体何のことなのでしょうか。最近では大手キャリア各社、またベンダーと協業で研究や実験が進められており、今後さらに注目を浴びる可能性のある技術です。

そこで今回は、この技術について簡単に解説し、また「なぜ5G通信への活用が期待されているのか」という部分にも触れてみたいと思います。


Massive MIMO(マッシブ・マイモ)とは

今回の記事では、来たる次世代の高速大容量通信の5Gへ向けて期待されている技術「Massive MIMO」について解説してみます。

Massiveという英語は「大規模な」という意味なので直訳すると「大規模なMIMO」ということになるのですが、まずはこの「MIMO(マイモ)」という技術について少し深掘りしてみましょう。

そもそもMIMO(マイモ)って何?

そもそもMIMO (読み方:マイモ、英語:Multiple Input Multiple Output) とは、複数のアンテナを用いてデータ送受信において大容量・高速通信を実現する技術の1つです。


出典:au

例えば「2×2 MIMO」や「4×4 MIMO」では、データ送受信両者に搭載されているアンテナの数を表しており、もちろんこの場合には、2つ同士のアンテナ(2ストリーム)で利用するより、4つのアンテナ同士(4ストリーム)で通信を行った方が、理論上は通信速度が高速になります。

ちなみにCA(キャリア・アグリケーション)は異なる周波数帯域の通信を重ねることでより高速・安定した通信を実現する技術ですが、MIMOに関しては、同じ周波数帯域の電波を利用して高速化しているのが特徴です。

例を挙げると、auでは4G LTE + WiMAX 2+のCAだと最大370Mbpsの受信速度となりますが、WiMAX 2+の部分が4×4 MIMO対応エリア・機種同士の通信であれば、最大590Mbpsの受信速度を可能にします。


出典:au 公式サイト

(↑上記のWiMAX 2+受信最大220Mbpsの部分では、4×4MIMOの技術が活用されている)

このようにMIMO自体は「複数アンテナを使って、高速・大容量の通信を支える」技術なのですが、では今回の記事の本題である「Massive MIMO」とは一体何なのでしょうか。

Massive MIMO(マッシブ・マイモ)では、基地局側のアンテナが大量に


出典:NTTドコモ主催 5G Tokyo Bay Summit 2016 技術ワークショップ資料(PDF)

(↑開発された「超多素子アンテナ」の例。数多くのアンテナ素子をマトリクス状に配置、また制御することで指向性の高いビーム状の電波を形成できる)

「Massive MIMO」では、基地局側のアンテナ数が数十もしくは100以上と多く搭載することが想定される、「超多素子アンテナ」を採用した要素技術です。Massiveとは日本語で「巨大な」や「大規模な」という意味なので、文字通りアンテナを大規模に搭載した技術なわけです。

↓SoftBankが公開している図(画像)が具体的にはイメージしやすいかもしれません。


出典:SoftBank 公式サイト

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なぜ「5G」でMassive MIMO(マッシブ・マイモ)が期待されているのか

来たる超高速・大容量通信のインターネット社会を実現する「5G」では、従来の低周波数帯とは別に高周波数帯の活用も予想されていますが、なぜ「Massive MIMO」が期待されているのでしょうか。

大容量通信・利用効率の向上に期待


出典:SoftBank 公式サイト

Massive MIMOを採用することで、これまで以上の大容量通信、利用効率の面での効果が期待されています。例えば、従来の方式は基地局が少ないアンテナを搭載している状態(=1車線の道路を多くの車が走っている状態)ですが、それに比べてより多くのアンテナを搭載しているMassive MIMOの基地局は専用の道路(スマホと基地局との通信の通り道)が多くなるため、渋滞の少ない快適な走行(通信)の実現が期待されています。

通信大容量化の原理に関しては、超多素子アンテナ(Massive MIMO)を活用しての周波数リソースの割り当ての方が従来の方式に比べてセル(電波の届く範囲)容量の効率利用化を見込めるということが、以下の図でわかりやすく示されています。


出典:NTTドコモ主催 5G Tokyo Bay Summit 2016 技術ワークショップ資料(PDF)

つまりは、アンテナ数の増加・同じ周波数帯の効率利用によって特定の端末だけに専用の周波数リソースを割り当てることで、人が多く集まる場所での大容量通信にも耐えうるシステムを構築できるのでは、ということです。

高い周波数帯利用時の課題にビームフォーミングで対応。「5G」との相性も○

Massive MIMOの構造のようにアンテナ素子を水平垂直に増やすと、その通信伝搬のビームが細くなる傾向があるとされています。より細く長く、イメージとしては、レーザーライトのように直線的な線を描いて、制御することで指向性の高い電波を特定のスマートフォンへ向かってピンポイントで届けることができるのです。


出典:au 公式サイト

(↑従来のセル範囲内ゾーンに届くというよりは、端末へスポット的に電波が繋がるイメージ。アンテナ素子を増やしてビームが形成されると、高周波数帯のデメリットである距離の問題も解決できる可能性や、ビーム的に特定の端末へ電波を届けることでセル範囲内ゾーンでの電波干渉を防げる可能性がある)

高周波数帯では電波が届く距離が短いと言われていますが、この技術ではビームが細く長く伸びていくような伝送イメージになるので、結果的に高周波数帯の利用でも伝搬距離を伸ばすことができ、さらに特定の端末へスポット的に電波が繋がる+制御によって、電波の届くゾーンを小分けにした「小セル」が密集することで起きるセル間の電波干渉についても解消が見込めます。

またビームフォーミングでの高周波数帯用のアンテナ素子サイズや配置は、その波長に比例、依存するとも言われています。高周波数帯用アンテナ(超多素子アンテナ)ではそのサイズや素子の間隔が小さく済むので、小さなフォームに、より多くのアンテナ素子を詰め込むこともできるとされています。つまりはアンテナ搭載機器の高密度化も期待できるのです。

こういった様々な理由から、超高速・大容量データ通信の時代に向けた「5G」では、Massive MIMOがそれを支える期待の技術として注目されているのです。

キャリアごとの5G実用化へ向けた実験

日本でも大手キャリア各社がこのMassive MIMOを5Gへ向けての重要技術の一つと捉えており、研究・実験を進めています。

NTTドコモ

NTTドコモは自社、また世界主要ベンダーと5Gに関する実験を進めており、Massive MIMOも要素技術の一つとして、研究が行われています。2014年9月にNTTドコモが出している「ドコモ 5G ホワイトペーパー」によると「マクロアシスト構成」を提案しており、低周波数帯のマクロセルを高周波数帯のMassive MIMOセルにオーバーレイさせて、高周波数帯利用独特の弱点を克服する狙いがあります。


出典:ドコモ 5G ホワイトペーパー(PDF)

(↑ビームで届ける高周波数帯のMassive MIMOセルに対して、カバーしきれない部分を従来の低周波数帯を使ったマクロセルで補う図)

低い周波数帯のマクロセルも補助的に利用することで広い範囲をカバーできますし、またビームフォーミングの適用が困難であるユーザー方向特定前の信号送信や、災害情報などセル全体にブロードキャストする必要がある信号などもマクロセルで補助できる、などのメリットが期待されます。(NTTドコモではこの小セルとマクロセルの組み合わせを「ファントムセル」コンセプトと呼んでいます)

KDDI(au)

auでも5G通信へ向けて研究が行われています。KDDIもNTTドコモと同じような高周波数帯の5Gセル、また補助的に広域用の低周波数帯(4G)を利用する方法が考えられているようです。


出典:au 公式サイト

すでにデモンストレーションも動画で公開されており、例えば8Kのストリーミングで高速大容量通信を、VR体験で5Gの低遅延をアピールしています。こういった通信環境発展の裏側に、Massive MIMOという技術が組み込まれていくことが予想されます。


出典:KDDIofficialチャンネル

SoftBank(ソフトバンク)/ワイモバイル

SoftBank/ワイモバイルでは「5G Project」にて、Massive MIMOのような新技術をいち早く提供していく試みが行われています。実際にMassive MIMO技術を世界初の商用サービスとして、一部地域に組み込み済みです。現状は分散型MIMO、MU-MIMOやUL MU-MIMOと組み合わせて「低速撲滅」をコンセプトにしており、現状は混雑するエリアや時間帯でも快適な通信が行えるような取り組みが実践されています。


出典:SoftBank 公式サイト

Massive MIMOに対応したエリアは、(予定エリアも含めて)全国の主要駅やその周辺、繁華街、競技場、イベント会場など。5Gの要素技術ではありますが、通信の遅さを改善するために4Gの段階でこのような最新技術をすでに商用サービスとして開始しているのは注目しておきたい部分です。

ワイモバイルの公式サイトにもMassive MIMOについてソフトバンクと同様の記述があり一部地域でMassive MIMO技術が適用されているとのこと。このような動向を見ていると、ソフトバンク傘下のワイモバイルは他社MVNOに比べていち早く5G通信対応が可能になるかもしれません。こちらも併せて注視しておきたいですね。


出典:ソフトバンク(SoftBank)公式チャンネル

Massive MIMO(マッシブ・マイモ)は5Gの要素技術の1つ

2020年に商用化が見込まれ、「高速大容量、多接続、低遅延」などが期待される5Gですが、周波数帯域の利用効率向上や高周波数帯との相性から、Massive MIMO(マッシブ・マイモ)は5G通信を支える主要技術の1つとして注目され、各社で急ピッチで研究・実験が行われています。もしSoftBankやワイモバイルの回線・対応機種を利用している方は、一部地域ですでにその恩恵を受けているかもしれませんね。

公式サイト:ワイモバイル

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