IIJmioのバースト転送を徹底解説!他社MVNOとも比較
IIJmio(みおふぉん)の「バースト転送」を徹底解説!簡潔に言うと「低速モードでも快適にインターネットが使える機能」なのですが、具体的にどんな時に便利なのでしょうか。また他社MVNOと比較して違いはあるのでしょうか。調べてみました。
IIJmioが提供している「バースト転送」は、簡単にいうと「低速200Kbps通信モードでも快適にインターネット通信ができる」機能です。具体的には、高速通信残量を消費することなく、テキストベースのウェブサイトやTwitterの更新などが快適に読み込めるようになっています。
しかしながら他社MVNOでも最近は同じような機能が出てきているので、「そもそもどのように通信が行われているの?」「IIJのバースト転送は他社と比較してどう違うの?」など、基本から詳しい部分まで確認してみます。
IIJmioの「バースト転送」とは
IIJmioが提供する「バースト転送」とは「低速通信時にも、一定量は高速通信できる機能」です。低速通信モードの状態でも一定量(初速)は高速通信を使えるので、高速通信をOFFにしてデータ残量を節約しつつ、快適にインターネットを利用することができます。
- おさえておきたいポイント
- バースト転送により、低速モードでも快適にインターネットが使えるようになる
- 低速でも使えるサービスが多くなるので、高速通信をOFFにしてデータ残量を節約できる
- 提供元のIIJはバースト転送機能実装のパイオニア的存在である
テキストベースのウェブサイト読込やTwitter更新に効果あり
バースト転送機能が実装されていることにより、低速200KbpsモードでもTwitterのタイムライン更新やテキストメインのウェブサイト読込は比較的快適に利用可能です。
- 具体的に便利な例
- 「テキストメインの軽いウェブサイトの読み込み」や「Twitterのタイムライン更新」のような「初速の高速通信だけでサクッと読み込みできるようなサービス」に便利
NTTドコモ、au、SoftBank(ソフトバンク)の低速通信よりも使い易い
ドコモ(docomo)、au、SoftBank(ソフトバンク)の低速モードは「128Kbps」となっており、速度制限がかかった場合「128Kbpsだとインターネットがまともに使えない」ことがほとんどです。
その点IIJmioの低速モードは、まず「200Kbps」であることに注目しておきましょう。そもそも低速の制限が大手キャリアの内容と比較すると少し緩い上に、バースト転送機能のおかげでいわゆる「低速モードだと全く使い物にならない」状況が回避できるというわけです。
- 大手3キャリアの低速モード
- 128Kbps
- IIJmioの低速モード
- 200Kbps + バーストで初速が高速
ちなみにNTTドコモの128Kbps制限解除する場合の例をみてみると、2GBごとに2,500円の低速通信解除料金が必要です。こういった大手キャリアのような速度解除料金を支払わずとも、低速通信モードのままでいくつかのサービスは快適に利用できるのがバースト転送のメリットでもあります。
高速データ通信容量(クーポン)の節約に便利
バースト転送はコンテンツ読み込みの高速化だけでなく、「高速データ容量の節約」にも効果を発揮します。例えば高速通信モードがONの場合にはインターネットを利用するごとに月間の通信容量を消費してきますが、低速モードに切り替えておけばこれらの消費を止めることができます。
バースト転送によって低速モード時の通信も比較的快適に行うことができるので、より高速通信節約の実用性が高くなり、結果的に「より多くの高速通信容量を、高速通信が必要なサービスに使うことができる」ようになります。
当月余ったクーポンは繰越できる
当月余った高速通信容量は翌月繰越が可能なので、バースト転送を活用することで節約した分を、YouTubeの動画視聴など高速通信を多く必要とするサービスに使うだけでなく、翌月に持ち越して使うこともできます。
バースト機能のおさらい
- バースト転送とは
- 低速モードでも、一定量(初速だけ)高速で読み込みができる機能
- 簡単に言うと…
- 低速モードでも、いくつかのサービスでは快適にインターネットを楽しむことができるようになる
- 3キャリアの128Kbps低速と比較すると…
- 200Kbps + バーストが使えるので、低速時も快適
- 具体的なメリット1
- テキストメインのウェブサイトやTwitterの更新など軽めのコンテンツであれば、バーストして素早く読み込みができる
- 具体的なメリット2
- 高速データ通信容量を節約できるので、節約した分で高速通信が必要なYouTubeやその他サービスを思う存分楽しめる
「データ通信容量を節約しながらも、いくつかのサービスは比較的快適に利用できる」のがバースト転送のメリットと言えるでしょう。特にドコモ(docomo)、au、SoftBank(ソフトバンク)で128Kbps制限によくかかる方は、2GBごとに2500円追加で支払っている分を節約できる場合もあり、結果的に大幅な節約に繋がる可能性もあります。
バースト転送の通信挙動
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)はバースト転送に関してIIJmio Meetingにて詳しい情報を提供しているのも他社とは異なる点で、いくつかのサービス利用時の通信挙動をスライドで紹介しています。特に「なぜテキストベースのウェブサイトやTwitterのタイムライン読み込みに便利なのか?」という点がデータとして出ているので見てみましょう。
どのくらいおトクなの?
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Twitterの更新
出典:てくろぐ
まずはTwitterの更新ですが、こちらは「瞬間的な通信」となっているので、バースト転送が適応され、ほぼ200Kbpsの通信制限にかかっていないことが読み取れます。
表を見るとクーポンON時と同じような挙動を示しているので「Twitterの更新に関しては、IIJのバースト転送があれば比較的快適に使える」ことが分かります。
Webサイトの閲覧・画像の読み込みが多いサービス
出典:てくろぐ
次にWebサイトの閲覧についてもチェックしてみます。ページによってはHTTPリクエストが途切れた時に再バーストしていることが確認されており、このことから、Webサイトの1ページを表示する場合でも状況によっては複数回のバーストが発生することが分かります。
当然ながらテキストメインのウェブサイトほどバーストの恩恵によって短い時間で全て読み込める可能性が高いですが、上記のようなケースでは複数回バーストすることによって、低速モードでも読込高速化の恩恵を受けることができる場合があると言えそうです。
出典:てくろぐ
大きな画像の読込のようなケースでは「連続的な通信」となり、バーストがあっても読み込みに時間がかかることが示されています。連続的な通信の場合にはバーストが画像読込の最初のみとなってしまいその後200Kbps制限がかかるので、当然、読み込むコンテンツの種類・サイズによっては不向きな場合も出てくると言えます。
LINEの無料通話・トーク
出典:てくろぐ
次にLINEの無料通話はどうでしょうか?LINEの無料通話に関しては実は200Kbpsに満たない程度の帯域利用がほとんどなので、バースト転送がなくても比較的快適に利用できることが分かります。
またLINEトークのチャット機能に関しても、スタンプやテキストであれば少ない通信なので低速であっても快適に使えるのもポイントです。これはIIJmioだけでなく、低速通信が200Kbpsとなっている格安SIM全般に言えることでしょう。
バースト転送の通信挙動から分かること
- LINEの無料通話・トーク
- 低速200Kbpsモードでも比較的快適に使える
- Twitterの更新
- 「瞬間的な通信」なので、バースト転送の恩恵で比較的快適に読み込める
- Webサイトの閲覧
- テキストベースのページならバースト転送の恩恵で比較的快適に読み込める
- 大きな画像の表示
- 場合によっては「連続的な通信」となるので、一度のバースト後に200Kbps制限がかかり快適ではない時もある
上記のことからも分かるように、大きな画像の読み込みなどは「連続通信」を必要とするので、バーストの不得意とする部分。またこちらの表には掲載されていませんが、大容量のデータを継続的に必要とする動画ストリーミングサービスなどにも不向きです。
従って「バースト機能は効果的なサービス(Tiwitterやテキストメインのウェブサイト等)に利用することで通信残量を節約し、節約できた分は高速通信をONにして画像読込の多いサービスや、動画視聴のようなサービスに使う」といった方法がおすすめです。
公式サイト:IIJmio
IIJmio以外でバースト転送が使えるMVNO・格安SIM
IIJmioのバースト転送について詳しく確認したところで、次は他社のMVNO・格安SIMで提供されている似たような機能もまとめて確認してみましょう。サービスによって高速通信が使える容量などが異なるのでチェック。
OCN モバイル ONE
OCNモバイルONEでは「バースト転送機能」を提供しており、「150KB」まで高速通信が可能。高速通信の使える「一定量」はIIJの格安SIMと比較して倍となっている点には注目しておきたいところです。
NifMo(ニフモ)
NifMo(二フモ)でもバースト転送機能が提供されています。バーストする一定容量は「150KB」と多めに高速通信が利用できるようになっており、これはOCN モバイル ONEと同じ容量です。
DMM mobile(DMMモバイル)
DMM mobile(DMMモバイル)でもバースト機能を提供。実はDMMは株式会社インターネットイニシアティブ、つまりIIJmioの格安SIMを提供しているIIJから回線支援を受けていることを公表しています。
エキサイトモバイル
エキサイトモバイルも、MVNEとしてインターネットイニシアティブが協力しており、バースト転送機能に関するノウハウもIIJが提供していることが明らかになっています。IIJの回線支援が入っているMVNOはバースト利用できるサービスが多いという点も、興味深い事実です。
mineo(マイネオ)
mineo(マイネオ)ではバースト転送と似たような機能が実装されている旨を、公式ファンサイトのマイネ王にて運営事務局が公開しています。
他社様の「バースト転送」機能と同じかどうかは分かりませんが、最初の数秒間だけ200kbpsの制限を受けないデータ通信ができるようになっております。TwitterやLINEの送受信であれば、ストレスなくご利用いただけます。
出典:マイネ王
楽天モバイル
楽天モバイルでは新しいAPN「rmobile.co」を設定することで、200Kbps低速通信モードでも通信開始時の「75KB分」は高速通信を利用可能。また通信速度制限時であっても、このバースト転送機能は使うことが可能です。
IIJmioでバースト転送を使うメリット・デメリット
他社のバースト機能内容も確認したところで、IIJmioと比較してメリット・デメリットも比較してみます。
デメリット:高速バースト容量が少ない
まずはデメリットから見てみましょう。実はIIJmioのバースト転送は「75KB」までを一定量、つまり高速通信が使える容量としており、すでに確認した通り、これより一定量が多い格安SIMはいくつかあります。
- OCN モバイル ONE
- 150KB
- NifMo(二フモ)
- 150KB
- 楽天モバイル
- 75KB
見ての通り、OCN モバイル ONEとNifMo(二フモ)は2倍の150KBとなっています。数値上は、当然ながらバーストできる容量が多いサービスにメリットがあります。
デメリット:低速のみのプランがない
IIJの月額プランでは「低速通信のみのプランがない」のもデメリットの一つです。月額料金とプラン内容を確認してみると、一番安いものでも高速通信3GB/月が付いてくる「ミニマムスタートプラン」となっています。
IIJmio タイプD | 月額料金 データ通信専用SIM | 月額料金 SMS機能付きSIM | 月額料金 音声機能付きSIM ※キャンペーン中 | 高速通信容量 | 通信速度 | SIM枚数 |
---|---|---|---|---|---|---|
ミニマムスタートプラン | 900円 | 1,040円 | 300円 | 3GB/月 | 下り最大988Mbps 上り最大75Mbps | 最大2枚 |
ライトスタートプラン | 1,520円 | 1,660円 | 920円 | 6GB/月 | 下り最大988Mbps 上り最大75Mbps | 最大2枚 |
ファミリーシェアプラン | 2,560円 | 2,700円 | 1,960 | 12GB/月 | 下り最大988Mbps 上り最大75Mbps | 最大10枚 |
みんなおトクに!キャンペーンにつき2019年10月31日まで音声機能付きSIM3カ月間月額1,300円割引 |
※タイプDの場合の月額料金
これに対して、「DMM mobile(DMMモバイル)」「エキサイトモバイル」「楽天モバイル」では、月間の高速通信が付属しない激安プランも用意しています。もちろん、念のため高速通信は付いているに越したことはありませんが、「LINEのトークやスタンプ送受信しか行わない」ユーザーであるなら、極論「低速通信200Kbpsとバースト機能だけで十分快適に使える」と感じる方も中にはいるでしょう。
「低速でもバーストがあれば問題ないので、とにかく安く利用したい」方は、これらの激安プランも選択肢に入れておくべきです。
メリット:通信速度の管理アプリが提供されている
では他社と比較してのメリットも確認してみます。まずはバースト転送とデータ容量の節約を上手く利用する上で重要な速度切替アプリ「IIJmioクーポンスイッチ(みおぽん)」に注目。
出典:IIJmio
「みおぽん」はiOS(App Store)、Android(Google Play)、そしてWindows向けのアプリとして公開されており、使っているスマートフォンにインストール・設定さえしておけば、ボタン1つで高速⇄低速の切り替えが容易に行えるようになっています。
このような速度切替用のアプリは他のMVNOでも多くが提供しているのですが、実は「エキサイトモバイル」は速度切替の公式アプリを提供していないので、Webページからログインしての通信モード切替が必要となります。
細かい部分ではありますが、データ容量を節約して快適に使うには、
- 速度切り替えアプリでデータ残量の確認・節約が簡単
- バースト転送で低速時も快適
- 余ったデータ容量は繰越OK
上記の3つが揃っているのがベスト。その点で言えば、IIJmioの通信は、アプリで管理しやすいのもメリットです。
メリット:技術採用のパイオニアであり、情報を多く公開している
記事内で紹介した検証のように、IIJからはバースト転送機能における多くの情報がエンジニアの方のブログやIIJmio Meetingで紹介されています。
他社ではバーストにおける一定量や詳しい内容を公開してない場合もありますが、IIJでは一般ユーザー向けに「どんなサービスが使えるの?」「速度はどのように変化するの?」といった実際のところまで積極的に発信しているので、情報が多く、利用者はバースト転送がどんなサービスに適しているか具体的にイメージすることができるのは大きなメリット。
そもそもバースト転送という機能は、格安SIMではIIJmioが初採用した技術であり、機能実装ではパイオニア的な存在でもあります。さらにMVNE(MVNOに対する支援サービスを提供)としてDMM mobile(DMMモバイル)やエキサイトモバイルへ支援を行なっていることも以前から明らかになっており、技術的な部分でMVNO・MVNEとして蓄積されたノウハウ・情報が多いことも、安心して使える格安SIMという点では見逃せないポイントでしょう。
IIJmioは「低速モードでも使い易い」格安SIMである
出典:IIJmio
他にも同じような機能を提供しているMVNOはいくつかありますが、ユーザーとの交流を含めた提供されている情報の豊富さ、機能実装のパイオニアSIMとしての安心感、総合満足度でのユーザーからの高い評価を考えれば、「低速通信モードでも使い易いSIMカード」「通信容量を節約し易いSIMカード」として、IIJmioのバースト転送機能を含めたSIMプランは、乗り換え前にまず検討しておくべき格安SIMと言えそうです。
公式サイト:IIJmio