VoLTE(ボルテ)とは?キャリア間でも対応?非対応端末と対応している格安SIMも紹介

VoLTEとは何かについてまとめました。VoLTEとは音声通話規格の1つで、音声データをLTE回線にのせて送れる技術です。VoLTEを使うには端末やエリアが対応している必要があります。メリットやデメリット、格安SIMにおける対応状況も紹介しています。
この記事の目次
「VoLTE」(ボルテ)という単語をよく耳にすることがあると思います。しかし、この「VoLTE」、なんとなく音声通話に関することかな?とは思うものの、その詳細についてはよくわからない人が意外に多いのではないでしょうか。
そこで、今回は知っているようで実はあまりよく知らない、VoLTEに関する基礎知識についてまとめてみました。
VoLTE(ボルテ)とは?
VoLTEとは一体何なのか、その概要について紹介します。
VoLTEとは?3G回線との違いは?
VoLTEとは、携帯電話やスマートフォンの通信規格の1つです。「Voice over Long Term Evolution」(ボイスオーバー・ロングターム・エヴォリューション)の頭文字を取っています。
「ボイス」とあることからわかるように、これは音声通話に関する規格です。そして「Long Term Evolution」とは、「LTE」のことを指します。
つまり、VoLTEとはLTE回線を使って行う音声通話のことです。
「LTE」は携帯電話の通信規格のことで、世代的には3Gと4Gの間です。「G」とは「Generation(世代)」のことです。
3G時代は音声通話もデータ通信も3G回線で行っていましたが、LTEの登場でデータ回線がLTEに移行しました。一方、音声通話は3G回線のままでした。
しかし、3G回線での音声通話は「音質が悪い」「音声が遅れて届く」などの問題があったため、LTE回線の一部を音声通話用に使えるようにして、クリアで遅延のない通話を実現させたのです。
VoLTEと3Gの違いは、VoLTEのほうが3Gよりも通話品質が高いということになります。
VoLTEを使うことによるメリット
音声通話にVoLTEを使うメリットは3つ挙げられます。
安定した通信品質
VoLTEの登場によって「高音質・低遅延」になったことで、通話品質が安定しました。
スマホで音声通話をする時、私たちの音声はデジタル信号に変換されて相手方に送られます。この変換の際に「コーデック」という技術が行われます。
3Gで使われるコーデックよりもVoLTEで使われるコーデックのほうが、より幅広い音域をデジタル信号に変換して伝えることができます。
3Gではカットされていた低音や高音がVoLTEでは再現できるようになったため、音声が非常にクリアに伝わるようになりました。
また、VoLTEは「パケット交換方式」を用いるようになったおかげで音声の遅延がほぼ解消されました。
音声の遅延とはこちらの声が向こうに届くまでに起きる「微妙な間」のことで、これがひどくなると会話がやや噛み合わなくなります。
高速マルチアクセス
高速マルチアクセスとは、VoLTEで音声通話をしながらLTE回線を利用したデータ通信も同時にできるというものです。
3G回線での通話時もこれはできましたが、同時にデータ通信をしようとするとデータ通信も3Gになってしまいました。
VoLTEの登場によって音声通信もデータ通信もLTE回線を使えるようになったため、「ネットを見ながらスマホで話す」という使い方がとても快適になりました。
発着信が高速化
LTE回線が音声通話に対応していなかった時は、音声通話はわざわざ3G回線に切り替えて行っていました。「音声通話のみをLTE回線から3G回線に切り替える」に最大で8秒程度の時間が掛かっていたのです。
電話番号を押し終わってから呼び出し音が鳴るまでに長い空白の時間があったのはそのためです。
VoLTEでは音声通話もLTE回線を使うようになったため、回線の切り替えが不要になりました。そのため、この空白時間が劇的に短縮されたのです。
キャリア間の互換性はある?
従来、VoLTEが使われるのは同一キャリア間での音声通話のみに限られていました。しかし、2018年10月頃からドコモとソフトバンクはVoLTEの相互接続が始まっています。
auは2018年10月の時点で「準備中」としていましたが、その後も他キャリアとの相互接続が始まったとの発表はありません。
そのため、少なくとも2020年4月末の時点ではドコモ対au、ソフトバンク対auの音声通話ではVoLTEが使えません。


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VoLTE利用条件
VoLTEを利用するためには、条件が2つあります。
通話を行う双方の端末がVoLTEに対応していること
最近発売されたスマホの多くはVoLTEに対応していますが、古いスマホやガラケーの中にはVoLTE非対応のものも多くあります。通話時に片方がVoLTEに対応していないと、その通話は3G回線を用いた通話になります。
使っている端末がVoLTEに対応しているかどうかは、メーカーの公式サイトのスペック表で確認できます。
通話を行う双方が4G LTEエリア内にいること
VoLTEはLTEを使った技術なので、キャリアが4G LTE回線を提供しているエリアでないと使えません。
音声通話をする際は、双方が4G LTEエリア内にいる必要があります。片方がエリア外にいる場合は3G回線での通話になります。
VoLTEを使うことによるデメリット
VoLTEのデメリットとして最も大きいのは、4G LTEに対応したエリアでないと使えない点です。
キャリアの4G LTEの人口カバー率は99%を超えていますが、山間部や県境などでは未だに4G LTEが使えない場所があります。このような場所では音声通話も3G回線を使うことになります。
また、VoLTEはパケット通信方式で音声通話を行っているため、パケット通信であっても通話料は発生します。頻繁に長時間通話をする人は、通話し放題になるオプションサービスを契約したほうが良いでしょう。
格安SIMでもVoLTEは使える?
格安SIMでもVoLTEは使えます。
格安SIMはキャリアから回線を借りてサービスを提供しています。そのため、「双方がVoLTE対応端末を使っている」「双方が4G LTEエリア内にいる」という条件を満たしています。
また、双方がドコモ回線の格安SIMかau回線の格安SIMであれば、格安SIMであってもVoLTEは使えます。
楽天モバイルでVoLTEは使える?
楽天モバイルは2020年4月8日からドコモ・au・ソフトバンクに続く「第4のキャリア」として正式にスタートしました。
格安SIMでもVoLTEに対応しているので、「格安SIMとしての楽天モバイル」では当然VoLTEは使えます。楽天モバイルの独自回線もVoLTEに対応しています。
auのVoLTE(ボルテ)非対応端末一覧
auのVoLTEについて、主にauの格安SIMを使う場合の注意点などを先に紹介します。
auの格安SIMのVoLTE利用条件
VoLTEの利用条件として「双方の端末がVoLTEに対応していること」「双方が4G LTEエリア内にいること」があります。これはどのキャリア、どの格安SIMでも同じです。
しかし、au回線の格安SIMでVoLTEを使う場合、このほかに2つの条件を満たす必要があります。
「au VoLTE対応SIM」を使う必要がある
auやauの格安SIMでは、つい最近まで「au VoLTE対応SIM」(マルチSIM)と「LTE用SIM」の2種類のSIMカードを発行していました。
このうち、LTE用SIMではVoLTEで通話ができません。そのため、昔からauの格安SIMを使っていてSIMカードがLTE用SIMの場合は、au VoLTE対応SIMに切り替える必要があります。
これからauの格安SIMを契約する場合、mineo以外のauの格安SIMなら特に注意する必要はありません。mineoだけがauのLTE用SIMを発行しています。
「2017年7月以前に発売されたau端末」はSIMロック解除を必要がある
これはVoLTEを使う場合に限らず、au回線の格安SIMを使う場合全てに共通するルールです。
少し前にauで購入した端末や他人から譲り受けた端末、中古端末を持ってau回線の格安SIMへ乗り換える場合は注意してください。
auのVoLTE非対応端末
auは2014年12月からVoLTEの提供を始めました。これ以降に発売された端末はほぼVoLTEに対応しています。
2014年11月以前に発売された端末で、いわゆる「3Gケータイ」「3Gスマホ」と呼ばれるCDMA 1X WIN対応端末はもちろんのこと、4G LTEに対応している端末でも、VoLTEに対応していない端末はVoLTEを使えません。
au 4G LTE対応機種のうちVoLTE非対応の端末
- G’zOne TYPE-L CAL21
- ARROWS ef FJL21
- ARROWS Z FJL22
- HTC J butterfly HTL21
- HTC J One HTL22
- HTC J butterfly HTL23
- HTC INFOBAR A02
- KC-01
- DIGNO S KYL21
- DIGNO M KYL22
- miraie KYL23
- URBANO L01
- URBANO L02
- URBANO L03
- TORQUE G01
- Optimus G LGL21
- isai LGL22
- G Flex LGL23
- isai FL LGL24
- Fx0 LGL25
- VEGA PTL21
- GALAXY S III Progre SCL21
- GALAXY Note 3 SCL22
- GALAXY S5 SCL23
- GALAXY Note Edge SCL24
- AQUOS PHONE SERIE SHL21
- AQUOS PHONE SERIE SHL22
- AQUOS PHONE SERIE SHL23
- AQUOS PHONE SERIE mini SHL24
- AQUOS SERIE SHL25
- Xperia VL SOL21
- Xperia UL SOL22
- Xperia Z1 SOL23
- Xperia Z Ultra SOL24
- Xperia ZL2 SOL25
- Xperia Z3 SOL26
- iPhone 5
- iPhone 5s
- iPhone 5c
なお、auは2022年3月末でCDMA 1X WIN、つまり3G携帯電話向けサービスを終了します。そのため、上記で紹介した端末はau回線で使えなくなります。
これらの端末を使っている人は、早めの機種変更をおすすめします。
VoLTE利用におすすめの格安SIM
VoLTEを利用した音声通話をしたい人のために、おすすめの格安SIMを2つ紹介します。
格安SIMでVoLTEを快適に利用したければ、重視すべきは「通信品質の安定性」です。VoLTEはLTE回線の一部を音声通話に利用するので、「通信速度が遅い」「通信が途切れる」といった場合は音声通話の品質が損なわれることになります。
ワイモバイル

ワイモバイルはソフトバンクが直接手掛けていて、とにかく料金が安いほうが良い人に向いています。
ワイモバイルは契約翌月から6カ月間は「新規割」が適用され、月額料金が770円(税込)割引されます。
その上、最初の1年間は「データ増量無料キャンペーン2」が適用され、「データ増量オプション」(月550円(税込))が無料です。
データ増量オプション
- スマホベーシックプランS:3GB→4GB
- スマホベーシックプランM:9GB→12GB
- スマホベーシックプランL:14GB→17GB
また、ワイモバイルは1回10分以内の国内通話がかけ放題です。これは料金プランに既に含まれており、別途有料オプションをつける必要はありません。
ただでさえキャリアに比べて料金が安いことに加えて、キャリアでは有料オプション扱いの「かけ放題」が無料なので、ワイモバイルはキャリアに対する割安感がより一層際立ちます。
UQモバイル

UQモバイルは、auを運営するKDDIの子会社UQコミュニケーションズが手掛けています。キャリアに対する料金の安さは、ワイモバイルと同等です。
UQモバイルの主力料金プランである「スマホプラン」は、ワイモバイルのスマホベーシックプランとほぼ似た構成になっていますが、2つ異なる点があります。
「かけ放題」が含まれていない
UQモバイルの「かけ放題」はオプションのため「かけ放題」をつけない選択もできます。音声通話のオプションの自由度はワイモバイルよりUQモバイルのほうが高いです。
そのため、音声通話の使い方によってはUQモバイルはワイモバイルよりもお得になることがあります。
UQモバイルかけ放題
- かけ放題(24時間いつでも):月1,870円(税込)
- かけ放題(10分/回):月770円(税込)
- 通話パック(60分/月):月550円(税込)
余った高速データ通信容量が翌月に繰り越せる
月3GBのスマホプランSで2GBしか使わなかった場合、余った1GBを翌月に繰り越して翌月は3GB+1GB=4GB使えるようになるということです。ワイモバイルでは余ったデータ量の繰り越しができません。
ワイモバイルにあった「データ増量」については、UQモバイルでは「スマホプランデータ増量キャンペーン」が行われています。
しかし、このキャンペーンは、「通話オプションの加入」と「au IDの登録」の2つの条件を満たした上で、あくまでも自らデータチャージオプションを利用する必要があります。このチャージした分がスマホプランSで最大1,100円(税込)、スマホプランM、Lで最大3,300円(税込)が割引になるということです。
最終的にはワイモバイルと同等になりますが、UQモバイルは適用されるためのステップが複雑です。データ増量に関しては単純なワイモバイルのほうが良いでしょう。
VoLTEとは高音質で快適な音声通話規格!お得な格安SIMで対応端末を使うのがおすすめ
非VoLTE通話とVoLTE通話とでは、通話品質が格段に違います。
通話品質が悪いと何度も聞き返したりお互いの発言が重複したりして非常にストレスが溜まるので、VoLTE非対応端末を使っている人はVoLTE対応端末に買い替えて快適な通話ができるようにすることをおすすめします。
最近はVoLTE対応端末を使っている人がほとんどですし、4G LTE対応エリアにさえいれば、ドコモとソフトバンク回線ならだいたいVoLTE通話になるはずです。
なお、おすすめの格安SIMとして紹介したワイモバイルとUQモバイルをを徹底比較する記事もありますので、併せてお読みください。