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格安スマホ契約数は拡大するも伸び率は鈍化 MM総研調べ

更新日:2021.02.08

格安スマホの契約数はここ数年右肩上がりで拡大を続けていますが、MM総研が発表した2018年9月末の調査結果によると前年の伸び率が42.1%だったのに対して今年は28.7%と伸び率が鈍化しています。MVNO業界に今一体何が起きているのか、今後はどうなるのか、調査結果を元に考えてみましょう。

ICT市場専門のリサーチ会社、株式会社MM総研が2017年12月26日に発表した「国内MVNO市場規模の推移」(2018年9月末)によると、独自サービス型SIMの回線契約数(格安スマホの契約数)は1,202.7万回線で、前年比で28.7%(268.3万回線)増となったことが明らかになりました。これは携帯電話契約数全体の約7.0%に及び、まだまだMVNO市場全体が拡大傾向にあることがわかります。


同社は23年3月末には2,420万回線とまだまだ回線契約数が伸びると予測していますが、一方で楽天によるFREETELのMVNO事業の買収、そのFREETELの格安SIM事業の破綻による民事再生手続きなどからMVNO市場自体の成長の鈍化を指摘する声もあり、格安スマホの契約数が勢いよく右肩上がりだった状況も多少変わりつつあります。そこで今回は調査結果を紐解きながら、MVNO市場の今と未来を考えてみたいと思います。

「国内MVNO市場規模の推移(2018年9月末)」(MM総研)から格安スマホ契約数の現状を確認

それではまず最初に、今回MM総研が発表した「国内MVNO市場規模の推移(2018年9月末)」の内容をざっとご紹介します。

格安スマホの契約数が前年比で28.7%増(268.3万回線増)も伸び率は鈍化

MM総研の調査結果によると、「独自サービス型SIM」(独立系MVNO事業者がSIMカードを活用し、独自の料金プランで提供しているもの)の契約回線数(格安スマホの契約数)は2018年9月末の時点で1,202.7万回線となっています。

出典:MM Research Institute, Ltd.

1年前の2017年9月末は934.4万回線だったので、1年間で28.7%(268.3万回線)が増えたことになります。

ちなみに2年前の2016年9月末は657.5万回線でした。つまり2017年9月末までの1年間の伸び率は42.1%(276.9万回線)ということになり、このことから「MVNO市場は右肩上がりではあるものの、伸び率は鈍化している」とみることができます。

携帯電話契約数に占める格安スマホ契約数の比率は7.0%

また、同調査では2018年9月末時点の携帯電話(3GおよびLTE)の契約数約1億7,167万回線に占める独自サービス型SIMの契約回線数(格安スマホの契約数)の比率を7.0%としています。


出典:MM Research Institute, Ltd.

1年前の2017年9月末は5.7%なので1.3ポイントのシェア拡大、となっています。2年前の2016年9月末は4.1%でしたので、MVNO全体のシェアは2年で約1.7倍以上になりました

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2019年度以降はIoT向けの需要拡大が期待

さらに同調査では2023年3月末での独自サービス型SIMの契約回線数(格安スマホの契約数)を2,420万回線に達すると予測しています。個人向けスマホ用途としての成長スピードは鈍化しても、2019年度以降はIoT向けの需要が期待され、2023年末時点でのIoT向け回線比率は30%超に達すると予測しています。


出典:MM Research Institute, Ltd.

MM総研ではMVNO市場を拡大する技術的要要素として「eSIM」と「LTE-M」の解放をあげています。「eSIM」とは組み込み型SIMのことで、ユーザー自身で通信事業者の切り替えが可能になります。これにより、海外に行ったときに現地のプリペイドSIMを購入しなくても、eSIMの情報を現地のキャリアに切り替えるとすぐに現地のモバイル通信を利用できるようになります。現行モデルのiPhoneXSにもeSIMが搭載されていて、iPhoneユーザーのMVNOサービスへの切り替えが促進されるだろうと予測している。また、組み込み型のeSIMは耐衝撃性に強く製品に組み込むIoTサービスへの活用が期待される。
「LTE-M」とはIoT向け通信規格LPWA(消費電力が少なくで長距離通信が可能)のひとつで、対応チップを使用することでMVNO事業者もLTE-Mの提供が技術的にはできるようになります。LPWAの利用によりIoT案件の提案の幅は広がるでしょう。

格安スマホ契約数の事業者別シェア1位は「楽天モバイル」

次に2018年9月末時点での事業者別シェアですが、1位は「楽天モバイル」などを提供する楽天、2位が「IIJmio」、「BIC SIM」などを提供するインターネットイニシアティブ、3位が「UQ mobile」を提供するUQコミュニケーションズ、4位が「OCNモバイルONE」を提供するNTTコミュニケーションズ、5位が「mineo」などを提供するケイ・オプティコム、となりました。


出典:MM Research Institute, Ltd.

2017年9月末の調査結果と比較すると、1位だったインターネットイニシアティブが2位に転落し、3位だった楽天が首位になっていることがわかります。楽天は混雑時間帯を除き、高速通信容量を使い切った後でも最大1Mbpsの通信速度がでる新プラン「スーパーホーダイ」を中心に契約数を伸ばしました。2018年の10月からはいままでのdocomo回線のみでなく、au回線も提供を開始、さらに19年には待望の大手キャリアの一角に進出するなど、同社の動向に注目が集まっています。

インターネットイニシアティブは法人向けのIoT回線を中心に回線数を伸ばしました。フルMVNOとなったことで通信の開通と休止のタイミングをコントロールできるようになりました。

UQコミュニケーションズは2017年9月末に比べて2つランクをあげて3位となりました。。端末ラインナップの拡充、TVCMの大量投下、直営店「UQスポット」の増加などの販促策を通じ契約数を急増させたました。2017年9月末から半年間の純増数はUQコミュニケーションズが最多です。NTTコミュニケーションズはNTTグループ再編の余波を受けたこともあり、個人向け法人向けともに堅調な伸びにとどまりました。

ただしインターネットイニシアティブやNTTコミュニケーションズはMVNEとして数十万規模の回線を提供しているので、MVNE事業も含めたトータルシェアで見るとこれら2社の市場における優位性は依然として高い、とされています。
公式サイト:楽天モバイル

2019年以降のMVNO業界の行方はどうなるのか

ここまではMM総研の調査結果をご紹介してきましたが、ここから調査結果を踏まえた上で現在、そしてこれからのMVNO業界の行方を考えてみたいと思います。

キャリアの「MVNO対抗策」が見逃せない

MM総研も調査結果の中で言及していますが、ここ最近のキャリアはMVNOへの契約者の流出を食い止めるべく新たな料金プランや割引キャンペーンを積極的に打ち出してきています

例えばドコモは2017年5月24日から月980円~利用可能な家族通話中心の利用者向け基本プラン、「シンプルプラン」を始めました


出典:NTT docomo

ドコモでは国内通話が24時間無料になる「カケホーダイ」が登場してから、Xi(クロッシィ)の料金プランは必ずカケホーダイ(もしくは5分以内の国内通話無制限の「カケホーダイライト」)が付きものとなってしまっていました。

つまり「音声通話はほとんど使わない」「音声通話は着信がメイン」という方は「使いもしない通話定額のために高いお金を払わざるを得ない」という状態が長らく続きました。これはドコモからMVNOに契約者が流出する大きな原因の1つだったと思います。

しかしシンプルプランは通話定額制ではなく従量制(使った分だけ通話料がかかる)なので、月々の料金を大幅に抑えることができるようになりました。カケホーダイは‭2,700‬円、カケホーダイライトは‭1,700‬円必要だったのに対し、シンプルプランは980円ですので、電話をほとんど使わない方にとってこの差は大きいです。

シンプルプランは「シェアパック」もしくは「ウルトラデータパック」というパケットパックを別途つける必要がありますが、例えばシェアパック子回線の場合なら、合計‭1,780‬円(シンプルプラン980円+パケットパック シェアオプション500円+SPモード300円)から使うことができます。
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パケットパックのシェアオプション(子回線)はあくまでも家族の方がドコモに親回線を持っている場合に限りますが、MVNO並みの月額料金でドコモを使うことが可能になったわけです。一人で利用の場合は「ウルトラデータパック」を利用することになるため、あまり安い料金にはならないのがネック。


出典:NTT docomo

docomo withとは2017年6月1日から始まった割引で、対象機種の利用で月額料金がずっと毎月‭1,500‬円割引になります。

docomo withの利用対象となる料金プランはカケホーダイプラン、カケホーダイライトプラン、シンプルプランのいずれかで、併せてパケットパックも利用している必要があります。

ということは、前述のシェアパック子回線「シンプルプラン980円+パケットパック シェアオプション500円+SPモード300円=月額‭1,780‬円」という契約形態でも利用可能で、ここからdocomo with割引を適用するとなんとドコモの携帯電話が最安約300円/月で使えてしまう、ことになります。

シンプルプランだとシェアパックに限られるためこれはさすがに極端な例にしても、例えば一人で使う場合「カケホーダイライトプラン‭1,700‬円+データSパック(2GB)‭3,500‬円+SPモード300円=‭5,500‬円」からdocomo with割引で約4,000円/月、というのは現実的なプランだと思います。

対象機種が少ないのが少しネックではあるものの、「月2GBのデータ通信が出来て、5分以内の国内通話が無制限」という条件でドコモが約4,000円/月で使えるのであればわざわざMVNOの格安SIMに乗り換えなくてもこのままでいい、となる方は相当数いるものと考えられます。

docomo withの対象機種は現状ではローエンド~ミドルクラスのものが中心となっていること、対象機種には端末購入補助が一切ないこと、などは別途考慮すべきではありますが、月額料金においてMVNOに肉薄しているのは事実です。

auも2017年7月14日から新料金プラン「auピタットプラン」を始めていますが、こちらは毎月使ったデータ通信量に応じて自動的に定額料金が変動する、というもので、月1GB未満のデータ通信量であれば音声通話料金込みで最安1,980円/月からの利用が可能になりました。

auピタットプラン(スーパーカケホ)+2年契約(誰でも割)+ビッグニュースキャンペーン(~2018年5月31日)+auスマートバリュー適用時


出典:KDDI CORPORATION

こちらも細かく見ていくと必ずしもMVNOよりもお得になるわけではありませんが、少なくともライトユーザー層の料金はMVNOと争う料金にまで下がってきています

これらキャリアの動きが契約者のMVNOへの乗り換えを思いとどまらせている、という点は否定できません。2019年以降もキャリアのサービス改善や、UQコミュニケーションズ、ワイモバイルといったキャリアのサブブランドの動きによっては、この傾向がますます強くなることも考えられます。

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MVNOの統合や破綻がきっかけでキャリアへの回帰志向が起きる?

2017年のMVNO業界を巡る大きなニュースの1つに「FREETELのMVNO事業の楽天への譲渡」、それに続く「FREETELを提供していたプラスワン・マーケティングの民事再生法の適用申請」が挙げられると思います。


出典:Plus One Marketing Ltd.

FREETELは格安SIMサービスを提供するMVNO事業と自社で企画し、中国などの企業へ製造委託した端末を販売する事業を手掛けていましたが、製品開発費や広告費がかさんだ上にMVNO事業では顧客数が伸び悩み、2017年3月期には約55億円の最終赤字に陥りました。

そのため2017年11月1日付でMVNO事業を楽天に譲渡して再生を図りましたが、そのわずか1ヶ月後の2017年12月4日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請、自主再建を断念しました。

前項でご紹介したように、MVNO業界は総務省の後押しもあってここ数年急速に拡大してきました。調査会社のICT総研によると、2017年6月時点の参入事業者数は668社となっており、700社に迫る勢いです。

当然市場における事業者間の競争は激しさを増すばかりですが、一部では消耗戦の様相を呈しています。FREETELは人気タレントやモデルをCMに起用して派手な宣伝を繰り広げていましたが、思うような効果が得られず結局楽天に救済を仰ぐ結果になりました。

今後同じように、体力のないMVNOが大手MVNOに飲み込まれていく、あるいは最悪破綻していく、という事態が発生する可能性は大いにあります

そしてこのような流れが起きた場合、MVNOそのものへの信用度が下がり、キャリアからMVNOへの流出が止まる、あるいはMVNOからキャリアへの回帰が発生することも考えられます

大手は「フルMVNO」を目指し中小との差別化を図る

2016年8月30日、IIJmioなどを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)は「2017年下半期をめどにフルMVNOとしてのサービス提供を始める」と発表しました。

フルMVNOとは、これまでキャリアしか持っていなかった「加入者管理機能」を持ったMVNO、ということです。

この加入者管理機能は正確には「HLR/HSS」と呼ばれるものですが、従来キャリアはこれをMVNOには開放していませんでした。しかし他社とサービスの差別化を図りたいMVNOの思惑と、携帯電話市場の競争を促進したい総務省の後押しの結果、IIJがドコモと2年以上に渡る交渉を経てHLR/HSSの連携承諾にこぎつけました。

これによってIIJは日本で初めて、独自にSIMカードを発行できるMVNOになることになります。


出典:Internet Initiative Japan Inc.

独自にSIMカードを発行できるメリットは様々ですが、その中でも大きいのが「SIMの情報やプログラムを自由に書き換えられること」(リプログラマブル)、「様々な形状のSIMを提供できるようになること」(エンベデット)、「複数キャリアの情報を1つのSIMに詰め込み、切り替え利用ができるようになること」(マルチプロファイル)の3つです。

この結果として、例えば自動車や建設機械、電化製品などにあらかじめSIMを内蔵し、出荷、使用する国や地域に合わせてキャリアを切り替えてネットワークに接続する、というような機器を提供できるようになります。この仕組みを「eSIM」といいます。

これはまさに今巷で話題の「IoT」、つまり「モノのインターネット」には欠かせない要素です。

IoTとは簡単にいえば私たちの周りのあらゆるものがインターネットにつながり、データをやり取りできるようになることを指すわけですが、フルMVNOはこのようなIoT社会に欠かせないeSIMを自社で発行することができるようになる、ということです。

社会全体のIoT化の流れは必然といわれている中、eSIMを自社で発行できるようになるというのは非常に大きな強みです。今後は個人ユーザーのみならず、IoT市場における法人ユーザーをいかに獲得できるかがMVNOの生き残りのカギを握ることになると思います。

IIJが先陣を切ってフルMVNOへの道を歩むことになりますが、今後は大手MVNOを中心にフルMVNO化へ舵を切るところが出て来るかもしれません。特にNTT系のNTTコミュニケーションズが提供するOCN モバイル ONEや、携帯キャリアを目指すことを表明した楽天が提供する楽天モバイルなどからは目が離せません。

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キャリアとMVNOの競争激化は利用者にとってはプラス!しっかり見極めてベストチョイスを

以上、MM総研が発表した「国内MVNO市場規模の推移(2018年9月末)」の内容から格安スマホの契約数の推移を確認しつつ、現在と未来のMVNO業界について考えてみました。

今回の調査結果ではMVNO市場の成長鈍化が見られましたが、これは本文中でもご紹介したようにキャリアがMVNO対策を頑張った結果ということです。利用者側から見れば今まで高止まりしていたキャリアの料金が下がったわけで、MVNOとキャリアの競争がプラスに作用したということになります。

利用者にとっては格安かつ高品質なサービスの選択肢が増えるのは歓迎すべきことなので、今後もMVNOとキャリアが切磋琢磨し合いながらよい状況が生まれてくれることを望むばかりです。

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