FREETEL(フリーテル)より安い?段階制料金の「ファンダムSIM」

アイストリーム株式会社は2015年7月14日から「ファンダムSIM」というサービス名でMVNO事業に参入しました。果たしてファンダムSIMはどのようなサービスを展開していくのでしょうか。 同じく段階制料金のFREETELと、豊富な料金プランを持つDMM mobileとの比較もしてみました。
この記事の目次
アイストリーム株式会社は2015年7月14日から「ファンダムSIM」というサービス名でMVNO事業に参入しました。2015年5月の「SIMロック解除原則義務化」に前後してMVNO事業に乗り出す新規事業者が相次いでいますが、果たしてファンダムSIMはどのようなサービスを展開していくのでしょうか。
※アイストリーム株式会社が提供していた格安SIMサービスは2018年3月31日をもって終了してしまいました。
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「ファンダムSIM」の概要
「使った分だけ後払い」式の料金プラン
ファンダムSIMの料金プランは、他のMVNOのように月々の高速データ通信容量の上限が決まっている「●GBプラン」のようなものではありません。「200MBまでで398円」から「7GBまでで2040円」までの8段階従量課金制となっています。
まずは料金表をご覧下さい。
データ通信のみ | データ通信+SMS | |
---|---|---|
~200MB | 398円 | 518円 |
~1GB | 598円 | 718円 |
~2GB | 750円 | 870円 |
~3GB | 850円 | 970円 |
~4GB | 1,000円 | 1,120円 |
~5GB | 1,270円 | 1,390円 |
~6GB | 1,650円 | 1,770円 |
~7GB | 2,040円 | 2,160円 |
月々支払うことになる最低料金は(データ通信SIMの場合)398円となります。これはSIMを使っても使わなくても必要になります。以降は月々「使った分だけ」料金を支払えばよく、1GBまでの利用であれば598円、2GBまでの利用であれば750円・・・のようになります。7GBを超える利用は料金体系が変わり、100MBあたり150円が課金されます。,/p
このシステムですと、理論上は上限なくデータ通信を利用することが出来てしまい、その分料金がどんどん上がっていってしまいます。これは考えようによってはとても恐ろしいことですが、ファンダムSIMでは「リミッター機能」というものが用意されており、契約者専用の「マイページ」から設定することが出来ます。
例えば上限を5GBに設定しておくと、上限の80%である4GBを超えたところで「そろそろ上限の5GBですよ」というお知らせメールが届きます。そして上限の5GBに到達した時点で「上限になりました」という2度目のお知らせメールが届き、それ以降は通信が出来なくなります。「通信速度が200Kbpsに落ちる」等ではなく、完全に使えなくなります。
もしもその時点で当月内の利用を再開したい場合、「マイページ」にアクセスして上限値を引き上げれば再度使えるようになります。設定された上限値で通信は止まるものの、上限値を変えることによって自己裁量で通信再開出来る、というわけです。
なお上限値を設定してもその月の使用量が上限値を下回っていた場合、あくまでも使った分だけ料金を支払えばよく、上限値の料金を支払う必要があるわけではありません。


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1つの契約で最大19枚のSIMカードが管理出来る
ファンダムSIMは1つの契約で最大19枚までのSIMを使うことが出来ます。
しかし他社の「シェアプラン」のように、「月●GB」を複数枚のSIMでシェアをする、というような趣旨ではないので注意が必要です。あくまでも1枚1枚のSIMは独立したものとして扱われるため、データSIMであれば月々最低でも398円の料金が発生が枚数分発生します。しかし請求は全て1人の契約者の元に行くことになります。
そして契約者は自分の契約下で使われている複数枚のSIMの利用状況を「マイページ」で管理することが出来ます。これを「グループ機能」と呼んでいます。
上の図を例にとると、1契約で5枚のSIMが契約されていてそれぞれを「お父さん」「おかあさん」「ばあちゃん」「たかゆき」が使用、それとは別に「旅行用」というSIMとして使われているのがわかります。
ファンダムSIMには「リミッター機能」がありますが、複数枚のSIMを利用している時はそれぞれのSIMに対してリミッターをかけることが出来ます。図では「お父さん」に5GB、「おかあさん」と「ばあちゃん」に1GB、「たかゆき」と「旅行用」に2GBのリミッターがかけられていることがわかります。「お知らせメール」もそれぞれのSIMに対して送られ、リミッターを超えた場合に停止になるのも超えたSIMのみ、です。なお契約者は「マイページ」で各SIMのリミッターを自由に操作することが出来ます。
複数枚のSIMを購入した場合でも、それぞれのSIMはあくまでも独立したものとして(なおかつ一元化して)管理することが出来る一方で料金の支払いは1つの窓口で済む、という便利な仕組みです。
複数枚SIMを利用する場合、料金は「平均化」される
ファンダムSIMにおいて1つの契約で複数枚のSIMを利用する時、料金の計算は「全てのSIMの利用料金を合計して請求」されるのではなく、「全てのSIMの利用料金を平均化した上で合計して請求」という形になります。
例えば1つの契約で3枚のデータSIMを使っていて、ある月の利用がそれぞれ「5GB」「2GB」「2GB」だったとします。料金表に照らし合わせてみると、データSIMの5GBは1,270円、2GBは750円ですから、合計して2,770円の料金がかかる・・・と思いきやそうではありません。
3枚のSIMで「5GB」「2GB」「2GB」なので合計すると9GB使ったことになります。これを1枚のSIMに「平均化」すると9GB÷3枚=1枚あたり3GBとなります。3GBですと850円になりますので、850円×3枚=2,550円が請求金額ということになります。
この例では平均化することによってたまたま料金が若干お得になっていますが、場合によっては変わらないことや逆に高くなってしまうこともあります。
以下の数字を使って、ある月の最終的な利用状況(データSIM)と仮定して月の料金を計算してみましょう。
「お父さん」が3.5GB、「おかあさん」が0.9GB、「ばあちゃん」が0.5GB、「たかゆき」が1.2GB、「旅行用」が0.9GBとなっていますが、それぞれの使用量を料金表に当てはめてみるとそれぞれ「1,000円」「598円」「598円」「750円」「598円」となります。単純にこれを合計すると3,544円になります。
しかし本来の請求には「平均化」の作業が必要になります。この家族は5枚で合計7GBを使っているので1枚の平均は1.4GBです。料金表によると1.4GBは750円ですから、750円×5=3750円が最終的な請求金額になります。つまりこの例だと「1人1人の料金の合計」よりも「平均数値の合計」の方が高い、という結果になるわけです。
ファンダムSIMをライバルと比較してみる
FREETEL(フリーテル)との比較
ファンダムSIMと同様の段階制料金プランを用意しているMVNOとして「FREETEL」(フリーテル)があります。
ファンダムSIMは200MBから7GBまでの8段階制なのに対して、FREETEL(フリーテル)は100MBから10GBまでの6段階制です。「1円でも安くSIMを持ちたい」ということであれば299円から持てるFREETEL(フリーテル)、ということになります。
100MBから10GBまでをそれぞれの料金を表にしてまとめてみました(太字は金額が安い方です)。
FREETEL | ファンダムSIM | |
---|---|---|
~100MB | 299円 | 398円 |
~200MB | 499円 | 398円 |
~1GB | 499円 | 598円 |
~2GB | 900円 | 750円 |
~3GB | 900円 | 850円 |
~4GB | 1,520円 | 1,000円 |
~5GB | 1,520円 | 1,270円 |
~6GB | 2,140円 | 1,650円 |
~7GB | 2,140円 | 2,040円 |
~8GB | 2,140円 | 3,540円 |
~9GB | 2,470円 | 5,040円 |
~10GB | 2,470円 | 6,540円 |
200MBから1GBまでの料金はFREETEL(フリーテル)の方が安いですが、1GB以上7GBまでは逆にFREETEL(フリーテル)は高くなりファンダムSIMの方が安いという結果になりました。しかし7G以上になるとファンダムSIMは100MBあたり150円の料金が加算されてしまうため一気に高くなり、再び逆転してFREETEL(フリーテル)の方が安くなります。
料金だけを比較すると、毎月の利用が2GBから7GBまでの範囲に収まる場合はファンダムSIMを使った方が良く、7GBを超える大容量の利用が想定される場合はFREETEL(フリーテル)を使った方が良い、と言えそうです。
ファンダムSIMには「リミッター機能」がありますが、FREETEL(フリーテル)にはありません。つまり「使っているうちに気づいたらたくさん使ってしまっていた」となる危険性があります。ただし1番高い2470円を超える料金になることはありません。10GBを超えて通信を行う場合は通信速度が200Kbpsに制限されますが、料金は2470円のままで利用することが出来ます。
DMM mobileとの比較
「全プラン業界最安値」を謳うDMM mobileは段階制の料金プランをとっていませんが、他のMVNOよりもデータ通信量の上限を細かく刻んで料金プランを用意しているためにあえて比較をしてみます。
こちらも表にしてまとめてみます(太字は金額が安い方です)。
DMM mobile | ファンダムSIM | |
---|---|---|
ライト(200Kbps無制限) | 440円 | |
~200MB | 630円 | 398円 |
1GB | 630円 | 598円 |
2GB | 770円 | 750円 |
3GB | 850円 | 850円 |
4GB | 1,270円 | 1,000円 |
5GB | 1,270円 | 1,270円 |
6GB | 1,860円 | 1,650円 |
7GB | 1,860円 | 2,040円 |
8GB | 2,140円 | 3,540円 |
9GB | 2,250円 | 5,040円 |
10GB | 2,250円 | 6,540円 |
7GB以上はDMM mobileの方が安くなります。ファンダムSIMはやはり「7GB以上は100MBあたり150円」という設定がネックになっているためです。逆に7GB以下であればファンダムSIMの方が安い、という結果になりました(3GB、5GBは同額)。ただしファンダムSIMはあくまでも段階従量課金制をとっているため、月額上限制をとっているDMM mobileとの単純比較は出来ません。
ファンダムSIMはどんな人にお勧めか
ファンダムSIMに限らず段階従量課金制をとっているMVNOは「月によって利用状況にバラつきがある」という人にお勧めです。
「月●GBまで」という月額上限制の料金プランの場合、多くのMVNOでプラン変更は無料で可能なものの「●日までに申し込むと翌月から適用」という形になります。「今月たまたま使う機会が多くて上限の●GBを超えてしまった」という場合、その月の●GBを超えた分は200Kbps等に制限された速度で使うか、「OCN モバイル ONE
<」の「容量追加オプション」(0.5GBのプラスで540円)のようなものを利用してその月に使える容量を一時的に増量するしかありません。
このようなことが「その月たまたま」であれば我慢することも出来ますが、頻繁に発生するような場合は「使った分だけ後払い」という形になるファンダムSIMやFREETEL(フリーテル)のような段階従量課金制のMVNOの方が使いやすいと思います。
またファンダムSIMの場合は1契約で19枚のSIMが使えるということから、会社の営業所単位での利用や小規模事業者での利用にも適しているといえます。事業所全体での通信コストの削減を考えている場合は検討する価値があると言えるでしょう。
FREETEL(フリーテル)より安い?段階制料金の「ファンダムSIM」登場 のまとめ
以上見てきましたように、ファンダムSIMは今までのMVNOとは一味違う特徴的なMVNOといえます。特徴をよく理解した上で使えば、利用状況によっては今までの携帯電話料金を大幅に安くすることが出来るかもしれません。
ただし新しいMVNOのため、通信速度等の品質にまだ不透明な部分があります。気になる人はネットを利用して口コミや評判などを確認してから使っても遅くはないと思います。
なお音声通話SIMは2015年12月頃の開始が予定されています。