SoftBank(ソフトバンク)のMVNO参入をLTEバンド事情から紐解いてみる
SoftBank(ソフトバンク)がMVNO市場に参入して3年半ほど経ちました。「海外の通信業界事情」と照らし合せながら、SoftBank(ソフトバンク)が格安SIM事業で成功しそうな理由を見ていきたいと思います。SoftBank(ソフトバンク)のプラチナバンドであるLTE「band8」がキーワードになるかも!?
この記事の目次
SoftBankがMVNO市場に参入するというニュースが飛び込んできてからはや4年近くが経とうとしています。今回はそのニュースと共に「海外の通信業界事情(LTEバンド事情)」と照らし合せながら、SoftBank(ソフトバンク)が格安SIM事業で成功しそうな理由をいつくか並べていこうと思います。
SoftBank(ソフトバンク)がMVNO事業に参入発表
まずは目先のニュースから確認します。ソフトバンクモバイルは2015年6月30日、MVNO推進子会社「SBパートナーズ株式会社」を設立し、MVNO事業の拡大を図る旨を発表しました。
MVNO事業をSoftBank(ソフトバンク)が推進
いよいよSoftBankがMVNOに進出ということですね。docomoやauに比べると少し出遅れた感はありますが、巻き返せる要素はかなり多いです。
同社はすでに低価格ブランドの「ワイモバイル」をグループ企業に持っていますが、ワイモバイル自体は回線を保持しているので「MNO(mobile network operator)」にあたります。
今回はこれとは別に、保有している通信網を貸りて自社のブランドでサービスを提供する通信業者「MVNO(mobile virtual network operator)」に、回線を貸すサービスを始めるわけですね。
SBパートナーズを設立
子会社の「SBパートナーズ」という会社を設立し、事業を推し進めていくということでした。SoftBankが100%出資の企業です。
事業開始は2015年7月1日で、代表取締役社長は元ワイモバイルのCOO寺尾洋幸氏が務めました。現在の代表取締役社長は横井直樹氏となっています。
寺尾氏はウィルコム時代に「だれとでも定額」を発案した立役者だという噂なので、その実行力に期待したいところですね。
どのくらいおトクなの?
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いつ始まる?
SoftBankがMVNO事業に本格参入した時期は2015年後半以降です。しかしながら、SoftBankはMVNOに提供していた「10Mbpsあたりの接続料」を300万円→135万円まで下げました。docomoが約95万円、auが約115万円となっていおり、少し高い価格設定ですが、以前よりはMVNOがSoftBank回線の提供に乗り出しやすくなると考えられます。
- 回線の貸し値 10Mbps
- docomo 約95万円
- au 約115万円
- SoftBank 約135万円
例えば、au系の「UQモバイル」ですが、こちらはデータ専用プランが3GBが1,059円/月なので、SoftBankも月額1,000円以下2GBくらいで推移するんでないかと予想ができるわけです。(あくまで予想です。)
料金はともかく、SoftBank系の格安SIMは料金よりも「SIMフリースマホの使いやすさ」にメリットがあるのでないかと思ってます。これは次の章で確認します。
ポイント
- 100%出資子会社「SBパートナーズ株式会社」が推進
- LINEモバイルのMVNO事業推進のため資本・業務提携を発表するされたり、SoftBank回線を提供するMVNOが増えたりと活発な活動が見られる。
MVNOに有利なSoftBank(ソフトバンク)の「プラチナバンド8」?
ここからはLTEプラチナバンドである「band 8」の優位性について語っていきたいと思います。結論から申し上げると「SofBankはSIMフリーと相性が良い」ということです。
海外のLTEバンド事情
先ほど言った「SoftBankはSIMフリーと相性が良い」ですが、これを知るうえで確認しておくべき点があります。それは海外のLTEバンド市場の動向です。
出典:Wikipedia
上の図はITU(International Telecommunication Union/国際電気通信連合)の分布ですが、地域ごとに1,2,3と分かれています。次にこちら下の文面をみましょう。
英語で申し訳ないのですが、この英文を訳すとこうなります。
- “LTEバンド1/3/7/28/38/40は、ITUの1/2/3の地域で将来的な国際ローミングに適しています。”
- “LTEバンド8は長い目で見ると、ITUの1/2/3の地域で国際ローミングできるかもしれません。”
と、こんな感じですね。ITU1、2、3というのは世界の各地域のことを言っていますから、簡単に言い換えると「国際的に使いやすいLTEバンドはコレだよ」と示唆しているようなものです。海外で国際ローミングができるのも、海外の電波が日本のSIMに適応しているからですよね。
総務省から発表されている、各キャリアが使用している周波数帯です。
docomo、SoftBankではLTEバンド1、3の国際バンドに対応しています。auは1のみです。
また、2015年開以降導入されたバンドband28は局地的な利用もしくは実験段階とされています。またband42はキャリアアグリゲーションで用いられる帯域で、高速通信に使用されます。
ただ、現状電波を語るうえで重要なのが「プラチナバンド」です。ようは繋がりやすい電波のことですね。
docomoがband19,auがband18の800MHz帯を利用していますが、このバンドが世界的にレアなバンド(特に18)なので、グローバル版SIMフリー端末ではたまにサポートされなかったりします。
したがって、アジア・中南米・欧州などで幅広く利用されているLTE Band 8はSIMフリー端末でもサポートされやすいので、SoftBankは有利なんじゃないか?と言えるわけです。
band8の900MHz帯は国際派
SoftBankグループが保有するband8のLTE(900MHz)は、現在の情報だけでも、韓国(KT),台湾(中華電信),や中南米・欧州など幅広く世界中で利用されているLTEバンドです。
国際的な利用が多いbandということは「グローバルのSIMフリーモデルで対応しやすい」ということにも繋がります。
格安SIMではSIMフリー端末が人気を集めているので「多くのLTEバンドに対応することで、より多くの人気機種をSoftBankのMVNOで利用できる」ことにつながるわけです。
LTE band8のポイント
- 「プラチナバンド+国際バンド」はSoftBankの強み
- グルーバル版端末でサポートされる可能性が高い。
SoftBank(ソフトバンク)回線とSIMフリー市場の関係
次はグローバル版やSIMフリー版端末の電波対応を見ていきます。これを見れば、SoftBankのMVNO進出の優位性が見えるかもしれません。
iPhone・iPadはSIMフリーがApple Storeで手に入るので、日本発売のSIMフリー版を確認しましょう。
iOS端末はもうほとんどの電波を掴めると言って良いです。
機種名 | FDD-LTE |
---|---|
iPhone XS/XS Max | バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、66 |
iPhone XR | バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、66 |
iPhone X | バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、66 |
iPhone 8/8 Plus | バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、66 |
iPhone 7/7 Plus | バンド1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、30 |
docomoではBand1、3、19、21、28。auではBand1、11、18、26、28。SoftBankではバンド1、3、8、28に対応しています。ここはプラチナバンドに各社対応しているので、詳しい説明は割愛します。「iPhoneすごい!」ということはわかりました。
Nexusシリーズ
世界の人気を集めるGoogleブランドのnexusですが、調査するのは「Nexus6」のグローバル版です。
出典:Google
Nexus6グローバル版は対応LTEがband1/3/5/7/8/9/19/20/28/41です。なので大手キャリア対応はこのような表になります↓
- グローバルモデルNexus6のLTE対応
- docomo band1/3/19/28
- au band1/28/41(UQ)
- SoftBank band1/3/8/28/41
肝心のauプラチナバンド18が入ってません。エリアも広い周波数帯なので、これがつかめなくなると少し厳しくなります。au一人負けですね。
一方docomoとSoftBankはプラチナバンド対応です。国内版ではないのでしっかりと掴めるかわかりませんが、仕様上は掴めるといってよいでしょう。
また、SoftBankのすごいところはプラチナバンド8だけでなく、国際バンド1、3も対応してるので、SIMフリー対応端末とは何かと相性が良いと言えるのではないでしょうか。
今回差が確認できたのはNexus6グローバル版だけですが、samsungの「Galaxy s6」グローバルモデルも1、3、8、41に対応しているので、他機種で調べてみても同じような結果になります。
SoftBank(ソフトバンク)のLTEバンドはMVNO参入に好材料
LTEバンドをみていくと、今後SoftBank(ソフトバンク)はSIMフリー端末との相性◎で、ユーザーを伸ばしていく期待感が持てます。また、MNO3グループがすべて事業に乗り出すことで、回線提供価格の値下げ→格安SIM値下げにつながることも期待しましょう。
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