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SIMフリー端末は対応周波数帯に注意して使おう

更新日:2020.10.21

総務省の主導で2015年5月から「SIMロック解除原則義務化」の制度がスタートして、はや3ヶ月が経過しました。今後他のキャリアも含めてSIMロック解除がしやすい環境が整うことが期待されますが、注意しなくてはならないのが「SIMロック解除する端末の対応周波数帯」の問題です。

総務省の主導で2015年5月から「SIMロック解除原則義務化」の制度がスタートして、はや3ヶ月が経過しました。当サイトでも既報の通り7月にドコモがSIMロック解除の条件を緩和しましたが、今後他のキャリアも含めてSIMロック解除がしやすい環境が整うことがますます期待されます。

SIMロック解除

しかしSIMロック解除の際に絶対に注意しなくてはならない問題が2つあります。1つは当サイトでも何度もご紹介している「通信方式」の問題、そしてもう1つは「SIMロック解除する端末の対応周波数帯」の問題です。今回は後者の話を中心に、SIMフリー化と周波数の問題をご紹介していきます。

これを理解せずにSIMロック解除をしてはダメ

通信方式の違いについて再確認

キャリアの通信方式の違いはMVNOの格安SIMを使う場合にも注意しなくてはならない問題なので、当サイトでも過去に何度もご紹介しています。

簡単に復習をすると、NTTドコモとソフトバンクは「W-CDMA」という通信方式を採用している一方、auは「CDMA2000」という通信方式を採用しています。

この2つには互換性がないため、仮に端末のSIMロックを解除したところでドコモやソフトバンクの端末ではauのSIMは使えませんし、auの端末でドコモやソフトバンクのSIMは使えません。

同じ理由で、ドコモの端末にau系MVNOであるmineo(マイネオ)UQモバイル のSIMは使えませんし、auの端末にドコモ系MVNOであるIIJmio 楽天モバイルのSIMを入れても使えません。

本稿で主に取り上げる「端末の周波数帯」の問題以前に、この点はとても重要なので一応最初に触れておきます。

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キャリアによる提供周波数帯の違い

いよいよ本稿のメインテーマでもある「周波数帯」の問題です。

電波の管理は総務省が行っていますが、携帯電話用として用意されている周波数帯と各社への割り当て状況は以下の表のようになっています。

バンド/周波数docomoauSoftBank
バンド1/2.0GHzW-CDMA、LTECDMA2000、LTEW-CDMA、LTE
バンド3/1.7GHzLTELTE
バンド6/800MHzW-CDMA
バンド8/900MHzW-CDMA、LTE
バンド9/1.7GHzW-CDMA
バンド11/1.5GHzLTEW-CDMA
バンド18/800MHzCDMA2000、LTE
バンド19/800MHzW-CDMA、LTE
バンド21/1.5GHzLTE
バンド26/800MHzLTE
バンド28/700MHzLTELTE

注目していただきたいのがドコモとソフトバンクです。ドコモはバンド1、バンド3、バンド6、バンド19、バンド21、バンド28と6つの周波数帯に対応しているのに対して、ソフトバンクはバンド1、バンド8、バンド11の3つにしか対応していません。

キャリアで販売しているSIMロック端末は、当該キャリアのSIMを挿して使うことを前提に作られています。つまりドコモの端末であればドコモが用意している周波数帯で使えるように作られており、他社の周波数帯のことは考えられていません。他社で販売している端末も同じです。

しかしSIMロック解除原則義務化が始まったことにより、ドコモで販売された端末をソフトバンクで、ソフトバンクで販売された端末をドコモで利用することが可能になりました。あるいはソフトバンクで販売された端末のSIMロックを解除してドコモ系MVNOの格安SIMを利用することも可能です。

このようにしてキャリア間の壁を乗り越えた場合に、「自分が使っている端末が対応している周波数帯」と「これから使うことになりキャリア(MVNO)が提供している周波数帯」が一致している必要があります。

現実問題として、1つも一致していないという事態は考えにくいです。上記の表を見るとわかりますが、2.1GHzのバンド1は全てのキャリアが対応しているからです。しかしキャリアが用意しているより多くの周波数帯と一致している方が、より電波をつかみやすく、使い勝手が良いのは間違いありません。

SIMロック解除端末を他社SIMで使う場合「つながらない」ことも

Xperia Z4の「ドコモ版」と「ソフトバンク版」の比較

xperiaz4
出典:Sony Mobile Communications Inc.

それでは実際にソニーの「Xperia Z4」を例に採り、ソフトバンク版とドコモ版の対応周波数帯を比較してみましょう。

なお、ソフトバンク版は2015年6月12日に発売されましたが、ソフトバンクでは2015年5月以降に発売された端末は「購入日より180日」が経過しないとSIMロック解除出来ません。しかしドコモはこの「180日ルール」を先月撤廃し、いつでも自由にSIMロック解除が出来るようになりました。つまり現状においてソフトバンク版のSIMロックを解除してドコモのSIM(もしくはドコモ系MVNOのSIM)を入れて使うことは出来ませんが、ドコモ版のSIMロックを解除してソフトバンクのSIMを入れて使うことは出来る、ということです。

バンド/周波数ドコモ版ソフトバンク版
バンド1/2.1GHz
バンド3/1.8GHz
バンド6/800MHz
バンド8/900MHz
バンド9/1.7GHz
バンド11/1.5GHz
バンド18/800MHz
バンド19/800MHz
バンド21/1.5GHz
バンド26/800MHz
バンド28/700MHz

ドコモ版とソフトバンク版では共通して対応する周波数帯がバンド1とバンド3しかありません。

ソフトバンク版はバンド8に対応していますが、ドコモはバンド8を提供していません。同じようにドコモ版ではバンド19、バンド21、バンド26、バンド28に対応していますが、ソフトバンクはこれらの周波数帯を提供していません。これが前述の「キャリアで販売しているSIMロック端末は、当該キャリアのSIMを挿して使うことを前提に作られている」ということです。

実際にどのような問題が起きるか

ソフトバンク版をドコモのSIMで使おうと、ドコモ版をソフトバンクのSIMで使おうと、キャリアが提供している周波数帯と端末が対応する周波数帯が1つでも一致していればとりあえずは使えます。特に都市部であれば「つながらない」ということはほとんど考えられません。

しかし全く問題がないわけではありません。例えば「回線混雑時のつながりにくさ」です。

どの携帯電話会社も、回線が混雑して逼迫した状況になると複数の周波数帯に上手く利用者を分散させて品質を確保しようとします。ドコモのLTEの場合であればまずは2.1GHz、1.8GHz、1.5GHzと3つの周波数帯を使い分けます。

Xperia Z4の対応周波数帯をみるとドコモ版はもちろん全てに対応していますが、ソフトバンク版は2.1GHz、1.8MHzのみの対応で1.5GHzには対応していません。そのため場合によって、ソフトバンク版を使ったLTE通信は回線速度が中々出にくい、ということが考えられるわけです。

もう1つは元々電波のつながりにくい山間部での問題です。

電波というのは「周波数が低い方が遠くまで届きやすい」という性質があります。遮蔽物を透過、回折しやすくなるからです。携帯電話に割り当てられている周波数でいえば、1.5GHzよりも800MHzの方が届きやすい、ということになります。そのためドコモとauは800MHz帯、ソフトバンクでは900MHz帯という周波数帯を用意して、主に山間部で活用しています。

しかしXperia Z4の対応周波数帯を見てもわかるように、ドコモ版では800MHz帯に対応しているものの900MHz帯には対応しておらず、ソフトバンク版はその逆で900MHz帯には対応していても800MHz帯には対応していません。

ということは、例えばドコモ版(ソフトバンク版)にソフトバンク(ドコモの)のSIMを入れて山間部に持って行くと、900MHz帯(800MHz帯)の電波をつかむことが出来ずにスマホが全くつながらない、使えないという事態に陥る可能性があります。たまたま旅行で山間部を通過した時に使えなかった、という程度なら笑い話で済みますが、そこに住んでいる場合は取り返しがつかないことになります。

ドコモの端末にドコモのSIMを入れて使っていれば、あるいはソフトバンクの端末にソフトバンクのSIMを入れて使っていれば携帯電話がつながる場所でも、端末をSIMロック解除して他社のSIMを使うと一切つながらない、という可能性があり、その理由は「携帯電話会社が提供している周波数帯」と「端末が対応している周波数帯」の不一致から起きる、というわけです。

SIMロック解除端末を使う時は対応周波数帯に注意!

SIMロック解除が本格的にスタートしたのは2015年5月ですが、それ以前に発売された端末はSIMロック解除のことを意識して作られていないため、他社SIMで使う際に対応周波数帯が少ないというケースが散見されます。古い端末のSIMロックを解除しようと考えている場合は事前に十分な調査が必要でしょう。

対応周波数帯のことで頭を悩ませたくない場合は素直にSIMフリー端末を買った方が無難です。国内で正規に販売されているSIMロックフリー端末であれば、国内キャリアで使うことを前提に対応周波数を設定しているからです。

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